谷山浩子の鬼こごめを聴く気にならない晩秋(とても暖かい)を経て12月だよ。
今年はミンスパイを作った。
ミンスミートがよくできたと思う。色々なレシピの複合で、黒糖をまぶしたドライフルーツとりんごに、レモン汁、ブランデー、バターを一晩なじませてから火にかけ、ひと煮立ちさせてから瓶に詰めて冷蔵庫で寝かせて作る。
火を通さないでそのまま瓶に詰める方法だと、通常数ヶ月単位漬け込むらしい。火を通す方は当日作ったり2週間漬けたり、レシピによってまちまちだった。あまり長いこと待てんので、今回はとりあえず火を通す方で一週間寝かすことにした。
焼き上がり後すぐはグツグツ煮立って「これ本当に友だちに送れるのか?」と思うぐらい汁が出たけど、しばらくしたらパイが吸ってくれた。ミート部分は落ち着いてジャムめいた仕上がりになった。
がんばって探し集めた3種類のレーズンが、水分でふっくらしていておいしい。りんごはシナシナになって、角切りの仕方をど忘れしたことを隠してくれるように、他となじんだ。アプリコットはレーズンに対して多く入れてないからかどこかへ行った。よくわからない。レモン汁を少し減らして、スパイスとブランデーを増やしたら、もっと重ためのクリスマス風味になりそう。でも、一気に2個以上いくならこれぐらいが食べやすいかも。
オーブンを一晩中まわしてもミンスミートが余ったので、忘れた頃にフルーツケーキにする予定だ。ケーキの表面に、小瓶にまだ半分残ってるドーバーのブランデーをハケで塗りたくるのだ。
錬金術って最高だな。
これは神の配慮であり、これがなければすべての身体は灰になっただろう。生涯にわたって料理をしてきたが、自分の職務の神聖さを理解していなかった。わたしのキッチンの哲学などすべてが霞んでしまう、いま、はっきりと骨身に染みた真実――わたし自身が食べ物だった。
イーライ・ブラウン. シナモンとガンパウダー (創元推理文庫) (p.409). 株式会社 東京創元社. Kindle 版.
気になっていた、シナモンとガンパウダーを読んだ。
キッチンの哲学も自分が今一番信じたいものと同じ思考体系を感じられて好きだった。なによりすべての料理シーンが良くて、もっと長く読みたかった。
主役二人の描写はある箇所の覚え書きを踏まえて読み返すと、序盤の一緒に食事をする時点で、ウフフですな。料理中に邪魔しに来るマボットさんかわいい。からかわれて真面目にイライラするオーウェン氏もいい。
たくさん出てきた中からザワークラウトを選んで仕込んでみた。作中では「甘いケーキ以外となら付け合せになる」とありました。
できたらチーズトーストにのせて食べたいよ。
同じ発酵仲間の発酵種と、どっちを作るか迷った。お腹であたためて根気強く世話をして、酵母のお母さんになるシーンがね・・・。ほっこりしたんよね。
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